2022年8月30日
トレーニングを終え、
僕はサウナの開店を待っている。
今朝の気温は20度だった。
それでもおじさんは、
真夏の如く汗だくなのだ。
あぁ早く、この汗を流したい。
「きゃあー超かわいい!」
後ろから黄色い歓声が。
マジかよ!
女子大生(たぶん)。
汗だくのおじさん、
ちょっと恥じらう。
「ちょ待てよ!」
さらに後ろからもう一人の連れ。
男連れ。
そうだよなぁ。
楽しそう。
朝6時。
扉が空いた。
彼ら(男1女2)は楽しそうに、
岩盤浴へと消えて行った。
最高かよ。
いかんっ!
整いに来たのに、
浮つき散らした心。
青春時代を思い出したりなんかして。
よし、
気を取り直して整えよう。
朝一の風呂。
人の少ないサウナ。
僕は無心で洗い流そうとした。
その邪念と汗。
しかしなんとなく。
おセンチなエモは流せない。
秋は、
なぜかエモい季節。
過ぎ去った時間は戻らない。
僕にも彼らのような時期が、
間違いなく存在していた。
感傷的にはなれど、
過去に囚われていては焼け石に水。
そう思いながら、
僕は焼け石に水をかける。
セルフロウリュ。
感傷的にはなれど、
過去に囚われていては傷口に塩。
そう思いながら、
僕は全身に泥と塩を塗る。
ソルトサウナ。
ふいに、
昔を思い出す事ってあるよね。
確かに、
僕には甘酸っぱい青春の日々はもう無い。
全身の塩を流すとがっつり口に入り、
むしろ超絶塩辛い味がした。
けれども、甘酸っぱい記憶を捨て去る必要なんて無いよ。それを心にそっとしまい、鍵をかけておこう。その鍵を無くさないように大切にしまってさ。そしていつでも開けられるようにしておくんだ。そうすればさ、確かに塩辛い現実はあるけれど、そんな繰り返しの毎日も、少しだけフットワークが軽くなって、ゆっくりでも歩んで行ける気がするよ。
泥パックを落とした自分の顔は、
間違いなくいつもより輝いていた。
ナヴィーオ代表 山崎
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