2023年9月27日
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トレーニングを終え、
僕はサウナの開店を待っている。
6時前だというのに、長蛇の列だ。
今朝の気温は20度だった。
それでもおじさんは、
真夏の如く汗だくだ。
あぁ早く、この汗を流したい。
「きゃあー超ヤバい!」
後ろから黄色い歓声が。
女子大生だ(たぶん)。
僕のすぐ後ろに並んだ。
マジかよ!
汗だくのおじさん、
ちょっと恥じらう。
「ちょ待てよ!」
さらに後ろからもう一人の連れが。
男連れ。
そうだよなぁ。
超楽しそう。
朝6時。
扉が空いた。
彼ら(男1女2)は楽しそうに、
岩盤浴へと消えて行った。
最高かよ。
いかんっ!
整いに来たのに、
浮つき散らした心。
青春時代を思い出したりなんかして。
よし、
気を取り直して整えよう。
朝一の風呂。
幸いまだ人の少ないサウナ。
僕は無心で洗い流そうとした。
その邪念と汗。
しかしなんとなく、
おセンチなエモだけが流せない。
秋は、なぜかエモい季節。
過ぎ去った時間は戻らないが、
僕にも彼らのような甘酸っぱい青春時代が、
間違いなくあった。
感傷的にはなれど、
過去に囚われていては焼け石に水だ。
そう思いながら、
僕は焼け石に水をかける。
セルフロウリュ。
感傷的にはなれど、
過去に囚われていては傷口に塩だ。
そう思いながら、
僕は全身に泥と塩を塗る。
ソルトサウナ。
ふいに、昔を思い出す事ってあるよね。
確かに、僕には若く甘酸っぱい青春の日々はもう無い。
シャワーで体を流すと、
がっつり口に塩が入り、
むしろ超絶塩辛い味がした。
けれども、甘酸っぱい記憶を捨て去る必要なんて無い。
それを心にそっとしまい、鍵をかけておこう。
その鍵を無くさないように大切にしまってさ。
そしていつでも開けられるようにしておくんだ。
そうすればさ、確かに塩辛い現実はあるけれど、
そんな繰り返しのように見える日々も、
実は毎日が青春の延長線上なんだと、少しだけ思える気がするよ。
そうして顔についた泥パックをシャワーで落とした。
鏡に映った自分の顔を見てみると、
いつもより少しだけ輝いていた。
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